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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

世界遺産へ着々 商店街 「まち全体が元気に」、観光客 「明治の技術に感心」

観光客が訪れる富岡製糸場正門前の商店街=23日
観光客が訪れる富岡製糸場正門前の商店街=23日

政府が富岡製糸場と絹産業遺産群の国連教育科学文化機関(ユネスコ)への推薦を正式決定した23日、製糸場のある地元富岡市の住民や観光客から喜びの声が上がった。文化庁が世界遺産への推薦を内定した7月以降、例年より入場者数が増えており、今回の推薦決定で、さらに拍車が掛かることが予想される。一方で、休憩所の増加をはじめとする受け入れ態勢の整備など、対応が急がれる課題も鮮明になってきた。

政府による推薦決定を受け、製糸場は祝福ムードとなった。正門前で観光客を入り口へ案内していた同市下高瀬の湯浅義治さん(68)は「県内初の世界遺産ということでとても期待している。富岡全体の発展を願い、市民としてできることを考え協力していきたい」と歓迎した。

世界遺産登録運動が進むことを知り初めて訪れたという兵庫県西宮市の佐藤純一さん(62)は「明治時代にこれだけの建物を建てたのは見事。技術もそうだが、何と言っても当時の人の心意気が感じられる」と感心していた。

身近な施設が世界遺産になる可能性が高まってきた地元商店街では期待がさらに膨らむ。製糸場の正門前で飲食店を経営する同市富岡の早水浩司さん(50)は「世界遺産になれば多くの観光客が来るため、受け入れ態勢が必要だ。世界遺産登録を契機に、富岡のまち全体が元気になってくれればうれしい」と喜んだ。

製糸場では連日の猛暑にもかかわらず、多くの入場者が訪れている。市富岡製糸場課によると、入場者数は今月11~19日に9日間連続で千人を超え、14日は約2千人が訪れた。例年お盆シーズンは団体客が減って千人を超えるのは2、3日だったことから、個人客の割合が増えていることも裏付けた。

世界遺産登録されれば年間50万人から100万人の入場者が見込まれ、受け入れ施設の充実のほか、解説員の増員や見学ルートの整備など見せ方も課題になる。市は現在、製糸場の将来像を示す整備活用計画の素案を公開し、市民の意見を募集中。各施設を30年計画で改修し、将来的に施設全体を見学対象とする方針だ。

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