「センター」整備提案 県に富岡市 案内、研究拠点に 世界遺産登録 知事と4市町長会議
- 掲載日
- 2012/10/03
本県の世界文化遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」の2014年登録に向け、大沢正明知事と構成資産がある4市町の首長による初の会議が2日、県庁で開かれ、登録後の観光、地域振興も見据えた遺産群の保存活用策について意見交換した。富岡市の岡野光利市長は県内の絹遺産群全体を紹介する総合ガイダンス施設「世界遺産センター」(仮称)を市内に整備することを県に提案した。
総合ガイダンス施設について、富岡市は構成4資産に加え、県内に点在する絹遺産の総合案内、調査・研究機能を備えた施設を想定。会議後、市幹部は「製糸場を訪れる観光客の立場になれば、ほかの絹遺産の情報が得られる施設は必要だ。施設は養蚕県ぐんまのPR、県全体の産業観光の発展に向けて有効」と意義を説明した。
施設の場所は製糸場から徒歩圏内の中心市街地を想定し、この日の会議で岡野市長は「よい場所があるので整備してほしい」と要望した。県の反町敦企画部長は「場所や内容も含めて検討したい」と答えた。
岩手県平泉町では2009年4月、構成資産の中尊寺と毛越寺(もうつうじ)の間の金鶏(きんけい)山中腹に「平泉文化遺産センター」を設置。平泉がユネスコ世界遺産委員会で1度落選した後に整備された。同センターは「平泉の構成資産の無量光院跡や観自在王院跡は遺跡のため建物がなく、建設当時の状態や建築の経緯などを分かるようにしている」と説明する。来夏の登録を目指す「富士山」(山梨、静岡県)と「武家の古都・鎌倉」(神奈川県)でも設置の準備が進められている。
会議では富岡、伊勢崎、藤岡、下仁田の4市町の首長が順番にそれぞれの資産の現状や課題を示し、県と連携した対策の必要性を訴えた。下仁田町の金井康行町長は荒船風穴が他の3資産と異なり、山の中にあって進入路が狭いことから交通対策について要望した。
大沢知事は「登録後を見据えて観光客を受け入れる態勢を整えていく必要がある」と強調した。