自信持ち各国にPR 「残っているのは奇跡」 ユネスコ大使 富岡製糸場視察
- 掲載日
- 2012/11/10
県世界遺産推進課の松浦課長(手前右)の案内で製糸場内を視察する木曽大使(手前左) (動画撮ったよ スマホで見てね)
パリのユネスコ日本政府代表部の木曽功・特命全権大使が9日、2014年の世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」を視察した。県担当者らから説明を受けて、4資産のうち3資産を見学。養蚕、製糸の技術革新と交流により、高品質な生糸の大量生産を実現した同遺産群の価値について理解を深めた上で「これだけの敷地と建物が残っていることが奇跡的。率直に素晴らしい。自信を持って各国の人に近代化遺産をPRしたい」と語った。
ユネスコ本部があるパリで世界遺産推薦候補の価値をアピールするユネスコ大使が、同遺産群を視察するのは初めて。視察したのは富岡製糸場、荒船風穴(下仁田町)、高山社跡(藤岡市)。最初に訪れた製糸場では、県世界遺産推進課の松浦利隆課長らの案内で東西の繭倉庫や繰糸場を見学。ブリュナ館で開催中の企画展「工女の暮らし展」にも立ち寄った。 木曽大使は「近代のこうした工業的な遺産は世界的にも壊されたり、多用途に転用されてほとんど残っていない」として、当時の姿が付属施設も含めて残る富岡製糸場をあらためて評価した。
日本は昨年から世界遺産登録を決めるユネスコ世界遺産委員会(21カ国で構成)の委員国であり「委員国と意見交換する機会で折に触れて富岡製糸場を説明し、専門家や各国大使にその存在を知ってもらい、登録に向けて働き掛けていきたい」と語った。
その上で「価値をPRするストーリーが非常に重要。日本だけでなく世界的にも大きな意味があったということを分かりやすく伝える必要がある。理解されれば必ず世界遺産(登録)につながる」とした。
木曽大使は、8日まで3日間の日程で京都で開かれたユネスコ世界遺産条約の採択40周年記念最終会合に出席後、「富岡製糸場を自分の目で見ておきたい」と、同遺産群を視察した。 (動画撮ったよ スマホで見てね)