上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

上毛新聞社Presents
「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

小中9年で系統学習 新年度から藤岡市教委 蚕の飼育必修 世界遺産目指す高山社跡

養蚕のための三つの天窓が特徴的な高山社跡
養蚕のための三つの天窓が特徴的な高山社跡

藤岡市教育委員会は新年度から、世界文化遺産登録を目指す同市の国史跡「高山社跡」や蚕糸業について、義務教育9年間で系統的に学ぶ高山社学(仮称)を、市内全ての小中学校16校の教育課程に導入する。社会や理科、道徳、総合学習などで養蚕教育機関の高山社や創設した高山長五郎の功績を教えるとともに、高山社跡の見学と蚕の飼育を必修にする。市教委学校教育課は「高山社を知ることで藤岡を誇りに思い、愛する児童生徒を育てたい」と説明している。

市内の小学校11校と中学校5校の教務主任と校長代表らで組織する第1回検討委員会を昨年11月に開き、高山社学の導入方針と、子どもたちが9年間のうちに1度は高山社跡を見学し、蚕を育てることを決めた。1、2月の検討委で教育内容を明確にし、4月から各校で高山社学を始める。

同課によると、市内の小学校ではすでに社会の副読本で高山社について学んでいる。高山社跡の地元の美九里西小は総合学習で高山社跡や富岡製糸場を見学、蚕の飼育や地域の養蚕農家の見学もしている。

高山社学は小学校の生活、理科、総合 学習、道徳、図工、中学校の社会、総合学習などで高山社や養蚕について学べるように、小学低学年や高学年、中学生用の資料を作成して指導していく。

具体的には、小学3年の理科の学習項目「チョウを育てよう」で、カイコガを使って卵から蚕、さなぎ、ガへと育っていく過程を観察する。道徳では蚕の飼育に何度も失敗しても諦めず、より良い養蚕技術「清温育」を開発し、農家に広めるため高山社を設立した高山長五郎の不屈の精神を学ぶ。

学校教育課は「子どもたちが将来、県外や海外の人に高山社を自信を持って説明できるようにしたい。地域をより深く知ることは国際交流や相互理解でも大切」としている。  高山社跡は、富岡製糸場、田島弥平旧宅(伊勢崎市)、荒船風穴(下仁田町)とともに2014年の世界文化遺産登録を目指している。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)