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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

赤れんがの遺構 8日から 出土品展で紹介 工女寄宿所跡 病室跡 候門所跡 富岡製糸場で発掘調査始まる

東繭倉庫の北側にある工女寄宿所跡で進められている発掘調査
東繭倉庫の北側にある工女寄宿所跡で進められている発掘調査

世界文化遺産登録を目指す富岡市の国史跡、旧官営富岡製糸場で市教育委員会による本年度の発掘調査が始まった。対象は官営期(1872~93年)の工女寄宿所跡、病室跡、候門所跡で、すでに赤れんがの遺構などが出土している。市立美術博物館で8日から17日まで開かれる富岡市内出土品展で、調査成果の一部が紹介される。

製糸場の発掘調査は史跡の内容を解明し、今後の保存計画の基礎資料を得るために実施。昨年度は西繭倉庫の外周と蚕種製造所跡で地下構造を調べた。

本年度の調査範囲は製糸場の北東部分で、発掘は1月下旬から始まり、3月中ごろまで予定。官営期から工女の寄宿所などが置かれた従業員の居住区画で、今は社宅が立ち並んでおり、見学コースからは外れている。

官営期の工女寄宿所については写真や絵図が残り、記録資料にも木造2階建ての建物が 2棟並んでいたことが記載されているが、詳細な設計は不明。市教委文化財保護課の担当者は「調査で建物の 礎石が見つかれば、正確な位置と大きさが特定できる」としている。

寄宿所跡からは赤れんがやモルタルの遺構のほか、陶器や瓦のかけらが出土。このほか原合名会社の経営期(1902~39年)のものとみられる陶器の繰糸鍋が花壇の縁石として再利用されていたことが確認された。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)