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守れ歴史的建造物 群馬建築士会 専門家を育成 来月初認定

群馬建築士会(渡辺良彦会長)は、歴史的建造物の保存活用に関して助言する専門家「ヘリテージマネージャー」(歴史的建造物保全・活用専門家)の育成を進めている。県内には、世界遺産登録を目指す富岡製糸場のほか重要伝統的建造物群保存地区(重伝建)もあり、建造物の価値を損なわず、修復などを助言できる専門家が重要になっている。東日本大震災を機に、全国でも専門家育成への注目が高まっており、昨年秋から養成講座を行っている同会は3月上旬にも、修了者を本県第一号のマネージャーに認定する。

ヘリテージマネージャーは、重要文化財などを管理する自治体や建物所有者に対して、修理や保存、活用に関する助言を行う専門家。同会によると、1995年の阪神大震災を契機に、兵庫県がいち早くヘリテージマネージャー制度を導入。東日本大震災もあり、現在では約20の地域で養成が進んでいる。本県では初めての取り組み。

群馬建築士会は、昨年10月から養成講座を開始。文化財保護に詳しい大学教授ら有識者の指導の下、建築士30人が、講義や建造物調査(自主演習)を通じ、文化財保護に関わる知識を学んでいる。

受講者で建築士の上原好之さん(49)=伊勢崎市堀口町=は「自宅近くには境島村地区があり、古い建物がある。どのように保存していけるか、知識を学びたい」と話す。

同会によると、東日本大震災で被災した歴史的建造物は、文化庁の調査(2011年度)で約9千件。本県では約600件の建物が被害を受けた。

同建築士会の新井晴夫副会長(71)は「ヘリテージマネージャーの存在を自治体や建物所有者にアピールし、地域と行政とのネットワークを構築し、気軽に相談できる体制を整備したい」と期待している。

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