上毛新聞社「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーン

上毛新聞社Presents
「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

「地域遺産に誇りを」 シンポや俳句ラリー シルクカントリーin藤岡

近代養蚕法を広めた高山社の価値の伝え方などについて意見交換したシンポジウム
近代養蚕法を広めた高山社の価値の伝え方などについて意見交換したシンポジウム

世界に誇る本県の絹遺産の歴史や価値を考えるイベント「シルクカントリーin藤岡」(フィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」推進委員会など主催)は最終日の10日、世界文化遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成4資産の一つ、高山社跡がある藤岡市で、シンポジウムを開いた。約300人が参加し、近代養蚕技術を全国に広めた教育機関、高山社の意義や、地域の絹遺産に誇りを持つことの大切さを再認識した。
(関連記事 12~14面)

法政大教授の田中優子さんは「江戸文化と絹」と題し講演した。日本の生糸、絹織物生産は8世紀ごろ始まり、江戸時代の養蚕技術の積み重ねがあって、生糸の大量生産に貢献した富岡製糸場や高山社に結びついたと説明した。「幕末の横浜開港により、江戸時代から高めた技術で作り、輸出したのが生糸だった。日本にとっての産業革命。上州の絹遺産が世界遺産になるのは当然」と歴史的な意義を強調した。

シンポは、田中さんと新井利明藤岡市長、高山社を考える会の小坂裕一郎会長、県世界遺産推進課の松浦利隆課長が江戸時代に藤岡に絹市が立った歴史や高山社の果たした役割を考え、次代に引き継いでいく方策について意見交換した。

グローバル化が進み、衣服や食物まで画一化している現代社会の中で、土地の歴史を知り、誇りを持つことが不可欠だという認識で一致した。その上で「地域のみんなが豊かになる」という高山社を創設した高山長五郎の志を県民が理解し、世界遺産登録後を見据えて協力していくことの大切さを訴えかけた。

「ぐんま絹遺産俳句ラリー」も行われ、参加した34人がバスで藤岡市内の絹遺産を巡り、絹の歴史や自然を感じながら俳句を作った。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)