富岡製糸場 存在価値広めたい 歴史小説「かわたれの槌音」 有志が映画化準備委
- 掲載日
- 2013/02/28
富岡製糸場の価値を語り合った初回のシンポジウム
富岡製糸場の価値と意義を広めようと、製糸場の建設過程を描いた歴史小説「かわたれの槌音(つちおと)」の映画化を目指し、県内のNPOメンバーらでつくる製作準備委員会(高橋伸二委員長)が本格的に動き出した。2月に入り県内外の3会場でのシンポジウムをスタート、映画制作への参加や支援を呼び掛けている。「富岡製糸場と絹産業遺産群」は2014年の世界遺産登録を目指しており、同委員会は「登録に合わせ、来年の夏ごろには完成させたい」としている。
原作は、甘楽町出身の作家で経営 コンサルタントの田村 貞男さんの小説「かわたれの槌音 維新の産業革命と富岡製糸場」(1997年出版)。建設地として富岡が選ばれた理由や、れんがなどの 資材確保といった史実を基に、初代所長の尾高惇忠ら が製糸場開設に奮闘する姿を描く。
製作準備委は、NPO法人「富岡製糸場を愛する会」の理事長を 務める高橋委員長と、前橋市出身の映画監督で、養蚕や製糸をテーマにした ドキュメンタリー映像の撮影経験のある桜井真樹(まさもと)さんが中心となって発足。3年ほど前からシナリオ作りなどを進めており、今後は 俳優やスタッフとして参加する県民を募る。
高橋委員長は「小説を読んで大変感動した。日本中、世界中に富岡製糸場創建の物語を伝えていきたい」と話す。メガホンを取る桜井監督は「群馬の人でも、製糸場がなぜ世界遺産になるのか分かっていない。映画という手段で、理由と価値を知ってほしい」と力を込める。
製糸場の価値を訴え、映画制作の機運を高めるため準備委はシンポジウムも企画。初回は、今月17日に前橋市古市町の有坂中央学園で開かれ、桜井監督、高橋委員長のほか、原作者の田村さん、富岡製糸場世界遺産伝道師協会の近藤功会長、同学園の中島利郎理事長が製糸場の役割や世界遺産登録の意義について意見を交わした。
今後は富岡市生涯学習センター(3月24日)、埼玉県深谷市の渋沢栄一記念館(4月21日)でも開く。いずれも午後2時から。問い合わせは製作準備委員会(TEL027・325・6603)へ。