世界遺産へ全国にPR 富岡製糸場と絹遺産群 錦絵、手記…7000ページ 養蚕資料データ化、HPで公開 県立図書館
- 掲載日
- 2013/03/03
電子データ化され、パソコンで見られるようになった県立図書館所蔵の養蚕関係
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録を後押しするため、県立図書館は所蔵する養蚕関係の資料を電子データ化し、ホームページで公開を始めた。養蚕風景を描いた錦絵や蚕の飼育の手引書など普段は専用書庫にある貴重な資料ばかりで、34点7千ページ近くにも上る。絹遺産に焦点を当てた関連資料の電子化は県内初。図書館は、インターネットで全国にPRし、日本の宝として登録の機運が高まることを期待する。
電子化されたのは、所蔵する江戸から大正にかけての資料が中心。江戸中期の浮世絵師、北尾重政と勝川春章の合作による養蚕錦絵や富岡製糸場の初代伝習工女の和田英の手記などが含まれている。すべて貸し出しが禁止されているものという。
県蚕糸業史に詳しい共愛学園前橋国際大の宮崎俊弥客員教授(66)は、養蚕関連の資料を網羅した「小野寺文庫目録」(1990年出版)に注目。「本県以外の養蚕県の資料も豊富で全国から関心を持たれるだろう」と指摘する。
専門書以外でも、操業時の富岡製糸場や荒船風穴、田島弥平旧宅の写真が載った「群馬県産業案内」(1913年出版)は当時と今の姿を比較して楽しむことができる。
電子化の作業は、業務用コンピューターのシステム更新を契機に2011年11月に着手。絹遺産関係はことし1月上旬から「デジタルライブラリー」で公開を始めた。これまで見られなかったような資料が鮮明な画質で楽しめる上、見たい部分を拡大でき、好評を得ているという。
図書館は2月中旬に公開資料を追加。今後は富岡市など関係自治体にも協力を求めて資料を充実させていく考えだ。
富岡製糸場と絹産業遺産群については、県も新年度、2014年夏の世界文化遺産登録に向けて全国主要都市での巡回展などPR活動に力を入れていくことを決めている。