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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

シルクカントリー双書発刊記念 絹産業と遺産残す 前橋で講演、シンポ

絹遺産とともに、本県の絹産業を未来に引き継ぐ方策を話し合ったシンポジウム=上毛ホール
絹遺産とともに、本県の絹産業を未来に引き継ぐ方策を話し合ったシンポジウム=上毛ホール

シルクカントリー双書(全10巻)の発刊記念イベント「シルクカントリーの未来」(上毛新聞社主催)が10日、前橋市古市町の本社上毛ホールで開かれ、講演とシンポジウムを通して、世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」とともに、県内で続く蚕糸・絹業を未来に引き継ぐ方策を探った。シンポジウムではパネリスト4人が、歴史や伝統文化、産業など多面的に討論。日本の近代化を支え、文化を育んできた本県の絹産業の価値を総合的に理解し、維持していく必要性を訴えた。

第1部では双書第9巻「絹のことば」を執筆した県立女子大准教授の新井小枝子さんが講演した。養蚕関連の言葉は生活の中で育まれたもので、日常会話にも比喩として使われている例を紹介。「生活実感のこもる養蚕言葉は過去を捉え、未来を考える絶好の題材」とし、無形の文化といえる養蚕言葉の可能性を語った。

第2部では「『シルクカントリーの未来』を語る」をテーマに、絹産業・文化の振興に取り組む大日本蚕糸会会頭の高木賢(まさる)さん、県世界遺産推進課長の松浦利隆さん、桐生市の泉織物社長の泉太郎さん、新井さんが討論。藤井浩・上毛新聞社論説委員長が進行役を務めた。

高木さんは蚕糸業が衰退する中、価格ではなく品質を重視した純国産絹製品で勝負する戦略を紹介。「遺産とは未来に残すべきもので、群馬の蚕糸・絹業もその資産。絹製品の需要を生み出すことが必要」とした。松浦さんは「生きた産業を見せられれば富岡製糸場の価値がよく分かる」と語った。泉さんは「よい絹糸からいい着物の発想が生まれる。絹の素晴らしさを多くの人に知ってもらうことが大事」と期待を込めた。

今月下旬発売の第10巻「織郷(おりさと)ぐんま」を含むシルクカントリー双書全巻の紹介のほか、富岡製糸場世界遺産伝道師協会による絹遺産群のパネル展示や上州座繰り体験も行われた。

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