シルクカントリーの未来 シルクカントリー双書発刊イベント にぎわう展示や実演
- 掲載日
- 2013/03/16
シルクカントリー双書を展示販売
◎テンポよく座繰り体験
会場に設けられた「上州座繰り」の実演コーナーでは、来場者が繭から糸を引く作業を体験した=写真。
富岡製糸場世界遺産伝道師協会の伝道師が指導係となり「左手は一定のリズムで座繰り器を回すだけ。繭が入った湯をかき回す右手に集中して」とこつを説明。表面のタンパク質により糸同士が接着する原理など、生糸の特質についても解説した。
来場者は左右の手の動きの違いに苦戦しつつ、慣れてくると回転のスピードを上げて楽しんでいた。
巻き取った生糸は希望者にプレゼントされ、藤岡市の教諭、清水静子さん(57)は「光沢があってきれい。コースターとして使いたい」と喜んでいた。
会場に設けられた「上州座繰り」の実演コーナー
◎4資産の価値 丁寧に
会場入り口には、富岡製糸場と絹産業遺産群を紹介するパネルを展示。富岡製糸場世界遺産伝道師協会の伝道師が、構成資産やその歴史的価値について来場者に説明した=写真。
絹産業遺産の全体像のほか富岡製糸場、田島弥平旧宅、高山社跡、荒船風穴の4資産について個々に紹介。技術革新の中心に富岡製糸場があり、品種開発や蚕種貯蔵などで各資産が連携して生糸の大量生産を実現したことを解説した。
伝道師は来場者にパンフレットを手渡して、2014年の世界遺産登録に向けた取り組みについてもPRしていた。
富岡製糸場と絹産業遺産群を紹介するパネル
◎「絹の未来の基礎資料に」
会場ではシルクカントリー双書を展示販売した=写真=ほか、上毛新聞社の富沢隆夫・事業局次長がシリーズ10巻の内容を説明。「絹の未来を築くための基礎資料にしてほしい」と呼び掛けた。
最終巻「織郷ぐんま」は、2008年から10年に上毛新聞に連載された原稿を中心にまとめた。県内各地の織物工房や桐生、伊勢崎を取り上げ、職人の技や着物の魅力に迫っている。
富沢局次長は東日本大震災で多くの資料が失われたことに触れ「地域の物語を発掘して記録に残すことの大切さを感じた」と発行の意義を強調。全10巻を並べると背表紙に富岡製糸場の錦絵が現れるなど、デザイン面での工夫も紹介した。