桑の実ワイン熟成 世界遺産登録で祝杯を 富岡実高が企画・開発
- 掲載日
- 2013/04/13
富岡甘楽地域の養蚕農家と富岡実業高が協力し、地元産の桑の実を使ったワインの開発を進めている。味の改良と商品化に向けた調整を重ね、来夏に見込まれる「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録を祝って乾杯するのが目標だ。関係者は「お土産としても定着させたい」と夢を膨らませている。
ワインは桑の実パンなどの新名物づくりを通して発酵について学んでいる富岡実業高の応用微生物部が企画した。市の補助金を利用し、2年前から群馬産業技術センターの酵母「美の和」を使ったワインの開発に取りかかった。
必要となる桑の実を探していたところに協力を申し出たのが、甘楽富岡蚕桑研究会(高橋純一会長)だ。高橋会長は「以前から世界遺産登録に間に合う形でワインを造りたいと思っていた。富岡実業高の皆さんに夢を託したい」と、会員の養蚕農家が収穫した桑の実を無償で提供した。
委託した前橋市の民間業者が桑の実を果汁のみの「果汁もろみ」と、皮や種もまざったペースト状の「果もろみ」に加工。発酵期間を3日間と8日間に分けて計4種類のワインを醸造した。
富岡市役所で先日行われた試作品の試飲会では、岡野光利市長らも交えて生徒が一年間の成果を報告した。濃い赤紫色が特徴のワインを試飲した岡野市長は「こくがあり飲みやすい」と好評価。桑の品種や加工コストについて具体的な質問も出た。
応用微生物部部長の勅使河原宙也君(3年)は「発酵の研究が形になって良かった」と喜び、商品化後のPRでも協力する考えだ。高橋会長は「産官学がタッグを組んで造ったワインを地元で定着させ、観光客のお土産としても普及させたい」と意気込んでいる。