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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

新たな特産品に 養蚕信仰「オキヌサン人形」復活へ 伊勢崎境島村

試作したオキヌサン人形を説明する金井さん(右)
試作したオキヌサン人形を説明する金井さん(右)

世界遺産候補の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産の一つで、田島弥平旧宅周辺の伊勢崎市境島村地区に伝わる養蚕信仰「オキヌサン人形」を復活させようと、同所の金井拓美さん(64)が、繭を使用したお土産品の人形を試作した。世界遺産登録に向けて地域への注目度が高まる中、「新たな特産品に」と取り組む。金井さんは、オキヌサン人形の製作講習会を開こうと準備を進めている。

オキヌサン信仰は明治中期、相模原市の皇武(こうぶ)神社が発祥とされ、養蚕の盛んだった埼玉県で多くの信仰を集めた。本県南部が北限とされ、昭和になっても伊勢崎市除ケ町、境島村、神流町、藤岡市などに残っていた。

境島村に伝わる民話によると、「お絹さん」が養蚕を手伝いに行く先々で繭がたくさん取れた。その後、お絹さんが来なくなったため、数軒の農家は「オキヌサン」と名付けた人形を作り、家に祭ったという。

人形の顔と頭はトウモロコシの皮とひげ、和紙が材料。髪形はハイカラ、マルマゲ、島田の3種類。赤いたすき、前掛けをしたものを3体作り、台所に祭った。春蚕の蚕具洗いの際、前年の人形は利根川に流し、新しい人形を飾った。

金井さんは20年ほど前、境島村地区の年配の女性からオキヌサン人形の作り方を教わった。繭クラフトにも興味があった金井さんは4年前から自宅で春蚕を飼育、作った繭で繭クラフト人形を創作している。

田島弥平旧宅の国史跡指定や世界遺産候補となったことで、境島村地区が注目されていることから、新たな特産品づくりを模索。繭を用いたオキヌサン人形のストラップを試作した。7日に境島村公民館で開かれたイベントで住民らに披露したところ、「私も作ってみたい」と好評だった。

金井さんは「絹を使った境島村らしいお土産品に仕上げ、世界遺産登録に向けて地域を盛り上げたい」と意気込んでいる。

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