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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

消えた建屋、資材発見 荒船風穴 「整備活用に重要」 下仁田町

見つかった2号風穴の建築資材
見つかった2号風穴の建築資材

世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産、国史跡「荒船風穴」(下仁田町南野牧)で、昭和30年代に撤去された2号風穴建屋の建築資材が近くの山林で見つかったことが19日分かった。荒船風穴には3基の石積みが残るものの建屋の資料は写真や文献のみで、建屋本体の構造物が発見されたのは初めて。町ふるさとセンター歴史民俗資料館の秋池武所長は「世界遺産登録に向けて風穴の整備活用に取り組む上で重要な発見だ」としている。

下仁田町教委によると、建築資材は16日に町職員有志約20人が荒船風穴周辺の清掃活動をした際、風穴の南西約30メートルの林道沿いの岩陰で見つけた。

秋池所長が風 穴建屋の廃材の可能 性があると考え、風穴を一時期 所有していた地元の男性に確認。男性が昭和30年代に2号風穴建屋を撤去した際、再利用できない木材を岩陰に置いたことを思い出し、建屋の建 築資材である確 証を得た。

地元の大工に確認してもらったところ、見つかった建築資材は柱、はり、かもい、留め金とみられる金具など9種計26点。蚕の卵が付いた種紙を収める棚の支柱とみられる部材もあった。

荒船風穴は天然の冷風を利用して蚕種(蚕の卵)を貯蔵した施設で、石積みで囲って建屋を設けて冷風を閉じ込めていた。1935年ごろには貯蔵施設としての役目を終え、3基の風穴のうち、1908年完成の2号風穴には土蔵造りの建屋があった。2号風穴建屋の木製扉は男性宅の物置扉に転用されている。

町教委は文化庁と県世界遺産推進課に建築資材の発見を報告。木材は崩れやすいため、県埋蔵文化財調査事業団の協力で保存処理を行い、詳しく調査する。町ふるさとセンターでの展示も検討している。

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