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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

富士山、鎌倉大詰め 評価次第でスケジュール遅延 富岡製糸に影響も 世界遺産登録審議

2014年の世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の登録審議を前に、先に推薦された「富士山」と「武家の古都・鎌倉」の審査が大詰めを迎えている。来月上旬までにユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議」(イコモス)が評価結果を勧告するが、富士山はイコモスから事前に構成資産の一つを除外するよう求められながら応じなかったため、登録が不透明になったとの指摘もある。6月のユネスコ世界遺産委員会で正式決定するが、鎌倉を含めた結果次第では本県の「富岡製糸場」の審議が先送りされる可能性もあり、勧告に注目が集まっている。

イコモスは、登録推薦書や現地調査から世界遺産としての価値を「記載(登録)」「情報照会」「記載延期」「不記載」の4段階で評価、ユネスコに結果を勧告する。「記載」の評価なら世界遺産委員会での登録はほぼ間違いないが、「情報照会」にとどまると追加情報を提出した上で14年以降に再審議。「記載延期」なら再審議は15年以降になる見込み。

富士山は昨年、イコモスから三保松原(静岡市)を構成資産から除外するよう求められた。だが、文化庁はことし2月、三保松原は富士山の世界遺産登録に不可欠な構成資産として除外に応じない考えを伝えた。

要請を拒んだ富士山について、イコモスがどう判断するのか―。要請を拒否した世界遺産候補に登録を勧告する可能性は低いとの見方は消えない。しかし、イコモスの勧告が委員会ですべて追認されるわけではない。昨年はイランとマレーシアの文化遺産が「記載延期」から一転、登録を決めている。

鎌倉にも不安要素はある。国内では鎌倉幕府が開かれた歴史上の価値が十分に評価されているが、外国の審査員がすでに世界遺産に登録されている京都や奈良との違いをどう判断するのか、勧告が出るまで分からない。

世界遺産962件のうち、文化遺産が745件を占める中、ユネスコは14年から文化遺産の審議を1国1件に制限する。そのため、富士山と鎌倉の最終審議の結果が「情報照会」にとどまった場合、政府は14年に富岡製糸場を含めた候補の中から、どれを優先して審議に掛けるかあらためて判断することになる。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)