系統的に功績や蚕飼育 藤岡市教委 小中全校で「高山社学」
- 掲載日
- 2013/05/13
紙芝居で養蚕や高山社について教える小学1年生の授業=藤岡平井小
藤岡市教委は本年度から、世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産の一つ高山社跡や養蚕などを学ぶ「高山社学」を全ての小中学校16校で始めた。養蚕を大きく発展させた高山社を郷土の誇りと位置づけ、理科や社会、道徳、総合学習の時間を活用して系統的に学ぶのが特徴。必修となる蚕飼育を不安視する学校もあるが、手探りの中でスタートを切った。
◎親しみやすく
「みんな、蚕って知ってるかな」。藤岡平井小の1年生担任、菊池直美教諭が問い掛けると、子どもたちは「白いイモムシ」「チョウチョ」などと元気に答えた。
菊池教諭は、市の世界遺産登録を推進するゆるキャラ「まゆダーマン」が登場する紙芝居を使い、近代的な養蚕の手法を考案した高山長五郎の功績を説明した。
授業を見守っていた黒沢英樹校長は「1年生にはちょっと難しいと思ったが、集中して話を聞いていた」と一安心。子どもが高山社や養蚕に親しみを持てるような工夫に目を細めた。
◎担当教諭の研修
高山社学の目玉の一つが蚕の飼育。市教委は今月7日、小学3年生の担任教諭を対象とした研修を開いた。初めて学校で蚕を飼う教員の不安を和らげようと、県蚕糸技術センターの職員を講師に招き、手順やこつを学んだ。
「暑い場所に放置しなければ簡単には死なない」「成長の過程で、餌とな る桑の葉不足に注意を」。参加した教員はアドバイスを書きとめながら、疑問点を積極的に質問した。
美九里東小3年担任の山崎恵子教諭も養蚕経験がない。「生き物なのでうまく育つか不安はある。研修で細かい手順が分かり、少し見通しが立った」と話した。
◎情報の共有
市教委学校教育課は3月、指導の手引きを作成、小中学校の全教員に配布した。 校区内に高山社跡がある美九里西小は以前から、総合学習で蚕の飼育や高山社跡の見学、養蚕農家訪問などを行ってきた。手引きにはそのノウハウも盛り込み、そのまま授業に使える資料も掲載した。
田中政文教育長は「各校が情報を共有し、知恵を出し合いながら充実した学習にしていきたい」と話している。