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富岡市講堂を使用中止 築80年の国登録文化財 耐震に問題、再開未定

使用中止となっている富岡市講堂
使用中止となっている富岡市講堂

富岡市は、耐震性に問題があるとして、約80年前に建設された国登録有形文化財「富岡市講堂」(同市富岡)を無期限で使用中止にした。耐震補強工事を行う場合は文化庁や県との協議が必要になり、今のところ使用再開のめどは立っていない。

昨年度に耐震診断した結果、震度5以上の地震で倒壊の恐れがあることが判明。東日本大震災を含めてこれまでの災害で建物に大きな被害はなかったが、市は安全性を考慮して6月からの使用中止を決めた。

講堂は旧富岡尋常高等小学校の講堂として1933年に建設。ポーチから玄関部分の洋風デザインと講堂小屋組のキングポストトラス構造が特徴で、県内屈指の講堂建築として知られる。82年から市に移管、2011年に登録有形文化財となった。スポーツ団体や合唱団の練習会場として市民に活用されてきた。

市は本年度当初予算に耐震補強工事に向けた設計業務委託料として約600万円を盛り込んだが、「今後のスケジュールは決まっていない」(市教委生涯学習課)という。

世界文化遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場とともに同市を象徴する近代化遺産の一つだけに、市教委文化財保護課は「文化財としての価値を損なうことがないよう慎重に対応したい」としている。

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