富士山が世界遺産 富岡製糸場 来年登録へ準備着々
- 掲載日
- 2013/06/23
世界文化遺産への登録が決まった富士山=22日午後0時5分、山梨県富士吉田市で共同通信社機から
カンボジアの首都プノンペンで開かれている国連教育科学文化機関(ユネスコ)の第37回世界遺産委員会は22日、日本政府が推薦した「富士山」(山梨県、静岡県)について、除外が勧告されていた景勝地「三保松原」(静岡市)を含め世界文化遺産に登録することを決めた。国内の世界遺産は、2011年登録の「平泉」(文化遺産・岩手県)と「小笠原諸島」(自然遺産・東京都)以来、17件目。本県の文化遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」は、14年の次回委員会で審議されることがほぼ確実となった。
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富士山の文化遺産登録が決定したことで、県の関係者も、ユネスコ諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)による現地調査に向けた準備を急ぐ。県世界遺産推進課は2月以降、文化庁や構成4資産がある4市町(富岡、伊勢崎、藤岡、下仁田)と協議して、現地調査の案内ルートについて複数のプランを検討。調査時に使う補足資料の作成を進めている。
イコモス側は遅くとも現地調査の3週間前までに日程や担当者名などを政府に通知、早ければ7月にも現地調査が行われる可能性がある。そのため各構成資産とも調査に 支障が出ないように建物の補修は当面見送り、現状を見てもらう方針。
富岡市は製糸場が適切に管理されていることを示すため、製糸場敷地内の清掃のほか、建物内部の片付けを進める。中心市街地で開催している「とみおか夏まつり」では製糸場を会場の一部として開放してきたが、ことしは現地視察に備えて夏まつり会場から除外した。
きたが、ことしは現地視察に備えて夏まつり会場から除外した。 伊勢崎市の田島弥平旧宅周辺では、住民団体が熱心に見本桑園の手入れをしており、県は養蚕が盛んだったころの風景として調査員に説明する考え。
世界遺産委員会は25日にも、次回の開催国を決める。政府によると、来年の開催国は代表21カ国で構成する委員国のうち、来年も任期が残る9カ国(日本、アルジェリア、コロンビア、ドイツ、インド、マレーシア、カタール、セネガル、セルビア)の中から選ばれる可能性が高いという。
イコモスは来年の世界遺産委員会の開催6週間前までに評価結果を勧告。その結果を基に同委員会で登録の可否が審議される。
◎いよいよ/全力で対応 本県関係者
富士山の世界文化遺産登録が決まった22日、本県関係者から富士山の登録を喜ぶ声や、来年の「富岡製糸場と絹産業遺産群」の登録に向けた決意が示された。
「富士山を世界遺産にする国民会議」会長を務める中曽根康弘元首相は「世界の人々に富士山の文化的価値が認められ、私たちの長年の思いが現実となり、誠に喜ばしく感慨深い。来年はいよいよ富岡製糸の番。富士山同様、ぜひとも世界遺産登録されるよう応援していきたい」とコメントを出した。
大沢正明知事も富士山の登録に尽力した関係者に敬意を表した上で、「富士山に続き、富岡製糸場と絹産業遺産群が登録できるよう引き続き気を引き締めて取り組みたい」と意気込みを示した。富岡市の岡野光利市長は「これで登録実現への期待が高まった。イコモスの現地調査には国や県などと連携し、全力で対応したい」と話した。