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瓦、漆喰の落下防げ 富岡製糸場 東繭倉庫屋根にネット

東繭倉庫の屋根での防護ネット設置作業
東繭倉庫の屋根での防護ネット設置作業

世界文化遺産登録を目指す富岡市の旧官営富岡製糸場で、東繭倉庫の屋根に防護ネットを設置する工事が行われている。破損した瓦や漆喰(しっくい)の落下を防ぐことが目的。大型クレーンを使って高さ14・8メートルの屋根頂部にネットをつり上げ、屋根に上った業者が取り付け作業を進めている。工事は20日まで予定している。

ことし1月、東繭倉庫の屋根から長さ約6センチの瓦の破片と漆喰の塊が落下し、下にいた見学者に当たる事故が発生した。

後の調査で屋根全体の老朽化が分かり、市は安全確保のためアーチ状の通路部分に仮設屋根を設置して文化庁と対応を協議。東繭倉庫では5~15年後をめどに大規模改修を計画していることから、それまで修繕を行わず、応急措置としてネットで覆うことを決めた。

防護ネットは景観や耐久性などを考慮し、ポリエステル製で目の粗さは15ミリ。長さ104・4メートルの東繭倉庫のうち、中央のアーチ状通路から北側の約50・4メートルについて頂部から軒まで屋根全体を覆う。

ネットに覆われた部分は瓦が見えにくくなるが、市富岡製糸場課は「世界遺産登録に向けて見学者が増えており、見栄えより安全性を優先した」としている。

富岡製糸場総合研究センターの今井幹夫所長によると、過去に東繭倉庫で屋根のふき替えが行われた記録は見つかっていない。「詳しく調べる必要があるが、修繕が行われていたとしても大部分は操業当初の瓦屋根だろう」とみている。

東繭倉庫は1872(明治5)年完成。製糸場の正門から入って最初に見える木骨れんが造りの建物で、アーチ状の通路には「明治五年」のキーストーンがある。

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