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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

《季楽学 ぐんま》養蚕製糸バスツアー 生糸の生産 間近に

金井さん(右)の飼育する蚕を見学して、養蚕の仕組みを学ぶ
金井さん(右)の飼育する蚕を見学して、養蚕の仕組みを学ぶ

養蚕や製糸の現場を訪ねてみませんか―。絹産業に関心を持ってもらおうと、県旅行業センターは9月に富岡製糸場や養蚕農家を巡るモニターバスツアーを企画している。普段は見ることのできない碓氷製糸の工場も見学できると聞き、一足早く関係者向けツアーで見どころを探った。

富岡製糸場では非公開の鉄水槽も見学できる
富岡製糸場では非公開の鉄水槽も見学できる

養蚕や製糸の現場を訪ねてみませんか―。絹産業に関心を持ってもらおうと、県旅行業センターは9月に富岡製糸場や養蚕農家を巡るモニターバスツアーを企画している。普段は見ることのできない碓氷製糸の工場も見学できると聞き、一足早く関係者向けツアーで見どころを探った。

 「ぐんまシルクロードの旅」と題したツアーは養蚕農家の見学からスタート。今回は、50年以上養蚕に携わっている富岡市白岩の金井一男さん(73)宅を訪れた。ちょうど初秋蚕の時期で、蚕室では9万匹が上蔟(じょうぞく)を待っていた。扇風機の風を受けて桑の葉を食べる姿は、いかにも快適そう。金井さんは「手を掛けた分だけ質の高い繭になるからね。大変だけどやりがいがあるよ」と笑顔で汗をぬぐった。

こんにゃく、シイタケ、ネギが入った「こしね汁」付きの定食
こんにゃく、シイタケ、ネギが入った「こしね汁」付きの定食

続いて富岡製糸場(同市富岡)を見学。繭倉庫や繰糸場を巡るコースの最後に、繰糸用の水をためるために1875(明治8)年に設置された鉄水槽(通常は非公開)へ向かった。水槽は直径15メートル、貯水量は400トン。水圧を考慮して下部ほど接合の間隔が狭く造られるなど、当時の高い技術力に触れることができた。

 昼食は近くの「かわら屋」で富岡名物の「こしね料理」を味わった。特産のこんにゃく、シイタケ、ネギを使う「こしね汁」は具にしっかりと味が染みており、隠し味の豆みそが懐かしい味わいだ。

午後は碓氷製糸農業協同組合(安中市松井田町)の生産工場を訪ねた。国産繭の6割を扱う碓氷製糸では、富岡製糸場で使われていたものと同型の繰糸機が今も稼働しており、繭から糸を引く工程を学ぶことができる。

工場内には機械音が響いていたが、ガイドの神沢秀幸さん(53)は「養蚕農家の減少により、ラインを減らしながら年間の生産量を確保している」と製糸業の窮状を訴えた。

碓氷製糸の工場では、稼働する繰糸機を見ることができる
碓氷製糸の工場では、稼働する繰糸機を見ることができる

碓氷製糸にあるシルク製品を扱う売店に寄った。ストッキングや肌着のほか、おすすめは「雪繭(ゆきまゆ)トリートメントシルクソープ」(ミニケース入り525円)。肌をすべすべにするシルク成分が配合されており、女性への土産に人気だという。

後はツアーのアンケート結果を参考に、県や富岡市、旅行業者などが商品化に向けて検討を進める。

【ぐんまシルクロードの旅】JR高崎駅を発着点に9月13~25日に計9回運行。各日先着40人。昼食付き5000円。モニターツアーのため、旅行中にアンケートや聞き取り調査を行う。申し込みはさくら観光(電話 0274・62・3611)へ。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)