観光人材育成全国と連携 製糸場「観光圏」に 中央情報経理専門学校(前橋)
- 掲載日
- 2013/08/21
中央情報経理専門学校(前橋市古市町)が全国の専門学校と連携して、海外からの誘客など観光戦略の中核となる「観光プロデューサー」の育成に乗り出す。20日に前橋市内で初会合を開き、実践テーマとして、2014年の世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」を起点とした観光圏の創造を目標とすることを確認した。
プロデューサー育成プロジェクトは文科省の「成長分野等における中核的専門人材養成の戦略的推進」事業に採択された。全体の事業費は約11億円で、本年度は計84件を選定した。
富山情報ビジネス専門学校(富山県射水市)など観光をテーマに全国の6校が連携。訪日外国人誘致に対応できるホテルマンや、エコや高齢者を対象としたツアープランナーの育成など役割分担して人材養成の学習システム開発に取り組む。成果は冊子や映像教材にまとめ、人材育成に活用してもらう。
絹産業遺産群に関する観光人材育成は、これまで市民による観光ガイドの養成などが中心だった。プロジェクトでは体験メニューの企画や観光商品の開発、観光を核に地域づくりのリーダーとなれる人材の育成を目指す。
外国人旅行者の獲得を目指す観光庁は、複数の県や観光地が結び付き、広域で観光客を呼び込むことができる"観光圏"の整備を呼び掛けている。絹産業関連の観光資源を効果的に結び付けるため、プロジェクトの全体委員会(委員長・中島利郎中央カレッジグループ理事長)には県内の産学官関係者に加え、富岡製糸場のれんが製造で関係が深い埼玉県深谷市、絹製品の輸出地となった横浜市など他県の関係者も参加する。
全体委員会の下に三つの部会を置き、今月中にも目標達成に向けた調査事業を開始する。専門家に対し、観光プロデューサーに求められる能力や知識についてアンケートやヒアリングを実施。京都や岐阜県高山市での育成事例について調べるほか、絹産業遺産群の観光圏内の歴史や人物、名産などを横断的に発掘する。
◎一線に人材輩出 県内大学
県内では高崎経済大と関東学園大などが観光専門の学科・コースを設け、政策や経営などさまざまな切り口で観光を講義。専門知識を身に付けた卒業生が観光産業の第一線で働いている。
高経大には観光政策学科があり、毎年120人の学生が「観光産業論」「観光社会学」「エコツーリズム」などの科目を学んでいる。今春、卒業生のうち25人が、旅行会社や鉄道会社、ホテルなど観光に関連する仕事に就いた。
関東学園大は2010年に観光ホスピタリティコースを設置。毎年10人前後が観光産業の現状や課題、もてなしの精神を学んでおり、来年春に1期生が卒業する。
大学に加えて、専門学校が連携して観光の人材育成に乗りだすことについて、県観光局は「観光の核になる人材、群馬を語れる人材が必要。観光立県群馬の力になってほしい」と期待している。