《わが町のビジョン》「世界」の名所 核に 荒船風穴とジオパーク 下仁田 金井康行町長(64)
- 掲載日
- 2013/09/03
かない・やすゆき 1949年2月生まれ。農大二高卒。県町村会監事。昨年12月から3期目
下仁田町の金井康行町長(64)は、世界文化遺産候補地の荒船風穴(南野牧)を軸に町内の観光・産業資源を複合的に生かす考えだ。
―風穴が世界遺産に登録されれば観光・文化振興が期待できる。
交通面の利便性と安全性の確保が先決。その上で神津牧場の自然体験と絡めたり、歴史を学べる教育機能を持たせて複合的に活用したい。自然を産業に取り入れた中小坂鉄山や田島屋蒟蒻(こんにゃく)水車といった町内の名所も関連づけてPRしたい。
―町一帯の「日本ジオパーク」登録から5日で丸2年になる。
活動拠点の町自然史館(青倉)や遊歩道、案内看板を整備しハード面は充実。ガイド養成講座も2年目を迎え、観光客を迎える態勢が整いつつある。
―「世界ジオパーク」登録の見込みは。
2009年に世界ジオパークになった島原半島(長崎県)を昨年訪れ、多様な来場者を迎えるための国際化・ユニバーサルデザイン化を見習う必要性を感じた。内容をさらに充実させ、準備を万端にして世界に挑みたい。
―世界遺産やジオパークをめぐる町民の声をどう受け止めるか。
どちらも地元の理解と協力なくして成り立たない。飲食店や菓子店、旅館などがジオパーク関連商品を開発し、風穴グッズも現れ始めた。住民説明会や住民参加企画に力を入れる中で、町民は経済効果に期待する一方、観光客が残すごみや交通事故の対策に関心を持っていると感じる。
―町の高齢化を踏まえ、福祉政策は。
ことし4月時点の高齢化率は40・5%。町民には住み慣れた地域で安心して暮らしてほしい。自宅からバス停留所までの移動が大変というお年寄りもおり、生活の足を支える政策を実施。タクシー利用券交付のほか、ことしから停留所を越えて自宅近くまで輸送する"集楽バス"を運用し、電動自転車の購入費助成も始めた。
―昨春閉校した小学校3校の跡地利用は。
現在は地域住民が体育館や校庭を使っていることが多い。旧小坂小校舎はシニア向け教室が開かれ、地域の交流拠点になっている。サッカー練習場として都会の少年団を誘致することも考えたい。
かない・やすゆき 1949年2月生まれ。農大二高卒。県町村会監事。昨年12月から3期目