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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

絹輸出支えたデザイン 製糸場商標 ポストカードに 10種類発売 日本絹の里

生糸商標を印刷したポストカード。輸出生糸の歴史を物語る
生糸商標を印刷したポストカード。輸出生糸の歴史を物語る

県立日本絹の里(村上毅館長)は、官営富岡製糸場で生産された輸出生糸に付けた商標(シルクラベル)をはじめ、明治から現代までの国内9製糸工場の商標を印刷したポストカード10種類を作り、5日から館内ショップで販売を始めた。「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録に向けて機運を盛り上げ、絹の歴史に理解を深めるきっかけにしてもらうのが狙い。商標は、絹産業が盛んだった時代を示すもので、絹の里は「歴史を再認識してほしい」と話している。

生糸商標は、製糸組合や会社が輸出生糸に添付した縦10センチ、横8センチほどのはり紙。海外に高品質生糸をPRするため、多彩なデザインが作られた。

ポストカード用には、絹の里と信州大が所蔵する商標の中から、デザインが良く、既に解散している県内外の製糸会社の関係者らに確認して使用の了解を得られた10点を採用。県内では富岡製糸場のほか、同時代に座繰り糸を輸出した碓氷社、その流れを組む戦後のグンサン、現役の碓氷製糸農業協同組合のラベル5点を一回り大きく印刷した。

富岡製糸場のラベルは、明治政府による官営期のもの。薄青色の背景に製糸場を黒で描き、日本語とフランス語で製糸場名を記した。建設を指導したポール・ブリュナの名前もある。碓氷社のラベルは、高品質ブランドとして評価の高かった「五人娘」「姫」。グンサンは、黄色地に赤いリボンが目を引く。

碓氷製糸の「UKIYOE」は、1959(昭和34)年の創業から使い続けている。高村育也組合長によると、現在は国内用生糸を生産するが、創業時はすべて輸出用で、日本の象徴として浮世絵のデザインになったという。

県外製糸場の商標は5点。東英社(長野県)は大黒様、亀山製絲(せいし)(三重県)は黒い背景にシカや弓矢を持つ女性を描いている。

絹の里は来館者の反応を見ながら第2弾も検討する。新井治男常務理事は「商標は明治以降、日本の生糸が世界で評価された証し。多くの人にシルクの重要性や歴史を再認識してもらい、蚕糸振興の一助にしたい」としている。

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