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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

県産繭や絹糸 商品に 和える代表矢島さん 富岡、安中の工房視察

座繰りや染織の現場を視察する矢島さん(左)=富岡市・繭織工房
座繰りや染織の現場を視察する矢島さん(左)=富岡市・繭織工房

各地の職人と協力して乳幼児のための伝統工芸品の企画会社「和える」(東京都港区)代表、矢島里佳さん(25)が、県産繭や絹糸を使った商品を開発しようと、養蚕や座繰り製糸を手掛ける富岡市と安中市の若手作家の工房を視察した。世界文化遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場とのつながりに、矢島さんは「絹産業もこの地域の宝物。養蚕からこだわった本物の絹を子どもたちに届けたい」と意欲をみせている。

「和える(aeru)」は、子どもたちに日本伝統の手仕事を伝えようと誕生したブランド。乳幼児も使いやすいデザインと機能性を持たせるため、矢島さんは各地の職人と協力して大谷焼の「こぼしにくい器」、本藍染めの産着、和紙のボールなどを開発した。テレビ番組などで取り上げられて注目が高まっており、オンラインショップでは品薄状態が続いている。

矢島さんは、富岡市内で金田健太郎さん(36)が主宰する「繭織工房」を訪問し、金田さんが育てた繭や、染色した絹糸を手に取った。安中市の「蚕絲館」では座繰り糸作家の東宣江さん(37)が座繰り器を使って繭から糸とりをする様子を見学した。

「安全・安心や知育の観点から、伝統工芸品のベビーグッズは需要がある」という矢島さん。視察では、繭の形や絹糸の手触り、糸の風合いや太さをオーダーメードできる座繰りに関心を示し、和紙職人と連携して赤ちゃんのベッドに付けるメリーに繭を使ったり、絹糸の人形などができないかと話した。

金田さんは「発想が斬新で、各地の伝統工芸職人とのネットワークもある。協力したい」とし、矢島さんのアイデアに期待していた。

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