富岡製糸場 混雑緩和で入場制限 遺産保全と安全両立 4月から1日5000人目安
- 掲載日
- 2013/09/25
2014年の世界文化遺産登録を目指す富岡製糸場について、富岡市が来年4月から、1日5000人を目安とした入場制限を実施する方針を固めたことが24日分かった。世界遺産登録による観光客の増加を見込み、文化財保護と入場者の安全確保、観光客の満足度アップを図る。混雑予想をホームページなどで発信し、観光客の分散化を促進。地元の管理態勢を整えることで、世界遺産登録の理念である遺産の保全と次世代への継承につなげる。
市富岡製糸場課によると、入場者の目安を5千人とし、担当職員が当日の混雑状況をみながら入場を制限する。団体客の予約時間を調整したり、個人客には空いている時間帯での入場を促すなど、特定の時間帯に観光客が集中しないようにする。
富岡製糸場の入場者数は12年度に28万7338人となり、本年度も8月末で前年同期比18%増。5月4日には過去最多の3446人が入場した。来場者は午前10時から午後2時ごろに集中するため、東繭倉庫展示室や繰糸場の通路が混雑し、ガイドツアーの解説員の声が聞こえにくい状況になっている。
観光客を無制限に受け入れた場合、敷地内での安全を確保できず、監視の目が行き届かないところで、建物や展示物が損傷する恐れもある。製糸場の価値を観光客に理解してもらうためにガイドツアーへの参加を勧めていることもあり、市は入場制限を決めた。
製糸場が混雑するのはゴールデンウイークや9~11月の土日・祝日が中心。過去の来場者データを基に、市はホームページに混雑予想カレンダーを掲載したり、周辺駐車場で待ち時間の目安を通知することなどを検討している。
入場の打ち切りはせず、混雑時に訪れた人には周辺の観光地を案内したり、中心市街地の散策や買い物を促して、来場時間を調整してもらう。
市は「世界遺産となれば、地元は遺産を適切に管理する責任を負う。周辺観光地や商店街と連携し、観光客の分散を図りたい」としている。