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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

歴史価値伝える 絹の専門家に直接アピール 最善の資料使い県担当者が説明

25日にイコモスの現地調査が行われた4資産の一つ「田島弥平旧宅」にも見学者が訪れていた
25日にイコモスの現地調査が行われた4資産の一つ「田島弥平旧宅」にも見学者が訪れていた

「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界文化遺産登録手続きで、学術面から世界遺産にふさわしい価値と保全体制を調査員に直接アピールできる1度きりのチャンスを生かそうと、県は「国際記念物遺跡会議(イコモス)」の現地調査に備え、4月から関係4市町と連携して調査での説明方法を協議してきた。調査初日の25日、富岡製糸場では、県世界遺産推進課の松浦利隆課長が、練り上げた資料を使い調査員の趙豊(ツァオフェン)氏に説明する姿があった。

世界遺産登録では、遺産群の価値が推薦書にしっかり示され、遺産が将来まで確実に保全される仕組みが整っているかが問われる。そのため、世界文化遺産登録で、イコモスの現地調査が与える影響は大きい。

登録すべき価値があるか否かは多分野の専門家が推薦書を読み込んで判断するため、イコモスの委員に直接、価値を説明することができない。現地調査は保全管理体制の確認が主目的だが、現地調査の報告書はイコモスの審査を左右する。

ことし1月に提出した推薦書は、遺産の保全管理の6原則を明記。価値を説明するボランティアガイドや、県が構築を進める「ぐんま絹遺産ネットワーク」との連携も重視した。

最大のヤマ場に向けて、県は4月からリハーサルを開始。7月には文化庁も加わって調査当日を想定した通し練習をした。当初は養蚕、製糸に詳しくないヨーロッパの産業遺産の専門家が調査員になることも想定した資料も準備した。

今月11日に、中国のシルクロード周辺の古い織物などを研究する趙氏が調査に当たることが発表されると、「専門家に合った資料」(県世界遺産推進課)に改善して本番に臨んだ。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)