絹で世界遺産土産 衣料品やアクセサリー、雑貨・・・ 県内業者と試験場 高い技術生かし 年度内に製品化
- 掲載日
- 2013/10/08
本県の繊維工業製品出荷額
世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の審議が来年6月に迫る中、県内の繊維製造業者と県繊維工業試験場が本県の高い繊維製造技術を生かしたシルク製土産の共同開発に乗り出す。今月から市場調査を行って商品を絞り込み、年度内に製品化する。本県の繊維工業の製品出荷額は10年間で半減しており、世界遺産登録で増加が予想される観光客に魅力的なシルク製品を提案することで技術力と商品力をアピールし、繊維業の業績回復につなげたい考えだ。
7日に約20社の関係者が桐生市相生町の同試験場で開かれた会合に出席。「県世界遺産関連絹製品開発研究会」を8日に設立する方針を確認した。
関係者によると、絹産業遺産群を訪れる観光客の好みやニーズに合った絹製品を拡充し、県産シルクを使った製品の販売増を目指す。衣料品やアクセサリー、雑貨のほか多様な商品の開発を進める。
コンサルタント会社が今月から市場調査し、観光客の年齢層や購買意欲、欲しい商品などのデータを集める。このデータを基に参加企業とセミナーを開き、ターゲットとなる年齢層や価格帯、商品の種類などを絞り込んでいく。第1回セミナーは11月ごろに開く計画。
デザイナーも加えてパッケージやデザインを検討、同試験場は所蔵する機械を活用して試作品作りに協力するほか、繊維に付加価値を与える特殊な技術などを提供し、より魅力的な商品づくりを支援する。
富岡製糸場や 周辺で土産を販売している店舗とも連携、新商品の情報交換や今後の販売戦略についても協議していく方針。販売先としては土産店をはじめ、観光客が 宿泊するホテルや温泉旅館、JR高崎駅など多様な場所を想定している。
今回の事業では繊維製造業者が開発に参加することで業者個々の企画力と開発力を高めてもらう狙いがあるほか、桐生や太田など県内産地もアピールする。
◎製品出荷額10年で半減 本県の繊維工業
日本の繊維業界は安価な外国製品に押され、ここ数十年厳しい状況が続いている。本県の繊維工業製品出荷額は2001年に1038億円あったが、11年には522億円に半減。それに伴い事業者も減少している。
太田ニット工業協同組合によると、衣料品メーカーが人件費の安いアジアへの工場移転と技術指導を進めたことから、分野によっては日本より高品質で安価な製品が海外で生産されるようになり、国内繊維業の減産につながったという。
同組合の寺内弘之理事長は「海外製品の品質は確実に向上している。個性的で消費者の要望をかなえる商品開発が国内産業の生き残りには不可欠」と指摘している。