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「ヨコスカ」刻印れんが 富岡製糸場で発見 来月15日から公開 ブリュナの手紙も

富岡製糸場敷地内から出土した横須賀造船所の刻印があるれんが
富岡製糸場敷地内から出土した横須賀造船所の刻印があるれんが

富岡市は22日、世界文化遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場の敷地から、「ヨコスカ造船所(旧横須賀製鉄所)」の刻印入りれんがが見つかったことを明らかにした。横須賀製鉄所は富岡製糸場の建物のモデルになったとされ、ともにフランス人技師、バスチャンが設計に携わった。製糸場建設を指導したポール・ブリュナが横須賀製鉄所首長、ヴェルニーに宛てた手紙とともに来月15日から製糸場で始まる資料展で初公開する。市富岡製糸場課は「二つの官営工場の関係に関心を持ってほしい」としている。

横須賀製鉄所は、本県ゆかりの江戸幕府最後の勘定奉行、小栗上野介(1827~68年)が建設を進言した幕末最大の国家プロジェクトでフランス人技術者集団が建設を手掛けた。明治政府への政権移行後の71(明治4)年に完成し、横須賀造船所に改称。現在は在日米軍施設で、木骨れんが造りの建物は現存しない。

れんがは2011年度に市教委文化財保護課が実施した西繭倉庫周辺の発掘調査で出土した。ヨコスカの「カ」と「造舩所」の刻印があることから横須賀造船所製とみられる。

富岡製糸場のれんがは甘楽町福島の窯で製造された。横須賀に由来するれんがが見つかったのは初めてで、富岡製糸場課は「横須賀との関係性にあらためて光を当てた興味深い発見」としている。

手紙は、ブリュナが明治政府と雇用契約を結んだ後の1871年に書かれ、フランスで暮らすヴェルニーの子孫が保管していた。富岡製糸場の建築に関する相談や、バスチャンを富岡に派遣してくれたことに対する礼が書かれている。資料展では2011年度に市が入手した手紙の写真を日本語訳とともに公開する。

資料展「木骨煉瓦造建築の源流を探る―フランスから横須賀へ、そして富岡へ」は12月15日まで、通常非公開のブリュナ館で開催。製糸場の設立当初期の鍛冶道具、写真や図面など約20点を展示する。問い合わせは富岡製糸場(電話 0274・64・0005)へ。

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