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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

製糸場で追加情報 イコモスへ文化庁提出 管理体制を説明 世界遺産登録

文化庁は28日、政府がユネスコに推薦している世界文化遺産候補「富岡製糸場と絹産業遺産群」について、諮問機関の国際記念物遺跡会議(イコモス)から管理体制などの追加情報提出を求められ、同日付で回答したと発表した。審査への影響については「全く分からない。登録してもらうため的確に回答した」としている。

文化庁によると、イコモスは9月27日にパリのユネスコ日本政府代表部に追加情報の提出を要請、今月28日までの回答を求めた。質問は「技術移転」「構成資産」「管理体制」の3点で、いずれも推薦書の内容についてさらに詳しい説明を求めたり、事実関係を確認する内容だった。

技術移転についてイコモスは、フランスとイタリアの生糸生産に着目して比較研究してはどうかと指摘。文化庁は富岡製糸場に導入されたのは、蒸気動力により大量の生糸を生産する「工場」の形態であり、それはフランスからもたらされたと回答。イタリアの養蚕や製糸技術との関係性は薄く、日本の養蚕技術は中国から伝わった技術を元に独自に発展し、18世紀にはすでに高い水準にあったとした。

構成資産については、現状と失われた建物を立体的に示すよう要望があった。文化庁は、県が設計図や古い写真に基づいて作成した4資産の模型の写真を送り、これを回答とした。

管理体制では、対応する専門人材の状況や、県が昨年5月に関係4市町と設置した県世界遺産協議会の役割を説明するよう求められた。回答では、専門性の高い担当職員が県や関係市町に計33人おり、解説のための職員やボランティアも多数いると説明。同協議会は保存管理計画の進行管理とモニタリングの役割を担っているとした。

イコモスは、9月下旬に行った絹産業遺産群の現地調査も踏まえて、来年5月上旬に登録の可否を4段階でユネスコに勧告。6月のユネスコ世界遺産委員会(カタール)で正式決定する見通し。

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