冷風貯蔵 仕組み解明 電流で地下構造調査 分析まとめ仮説立証 下仁田・荒船風穴中
- 掲載日
- 2013/11/07
風穴の西側の斜面でデータを集める町職員ら
下仁田町は6日、世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産、荒船風穴(同町南野牧)で、電流を流して風穴の地下構造を調べる地質学的な調査を初めて行った。風穴は岩場から吹き出す自然の冷風を生かして蚕の卵を貯蔵し、養蚕業の発展を支えた施設で、調査は冷風が生じる仕組みを解き明かすのが目的。7日も調査を続け、年度内に分析結果をまとめる。
風穴は、西から東へ下る谷地に上方から崩れ落ちた岩が堆積して形成され、岩の隙間を空気が通ることで冷風が生じるとみられている。調査により、地下構造を明らかにすることで仮説を立証、空気の通り道の広さや深さを明らかにしたい考えだ。
6日は町ジオパーク推進室、地質研究者らでつくる下仁田自然学校、地元ガイドの「荒船風穴・下仁田ジオ応援団」から12人が、風穴西側の険しい上り斜面に入った。地表に電極を刺して電流を流す「比抵抗測定装置」を使い、7日までに9地点でデータを取る。
地下最深30メートルまでの地質や地層の変わり目が判別できる見込みで、地質調査の専門業者に分析を依頼し、年度内に結果をまとめる。
町ジオパーク推進室は「冷気が生じる仕組みを把握し、解説に生かして、訪れた人に満足してもらえるようにしたい」と期待を寄せている。