石積み修復に着手 22日から仮設見学路 荒船風穴
- 掲載日
- 2013/11/09
下仁田町教委は8日までに、来年夏の世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」の構成資産の一つ「荒船風穴」(同町南野牧)で、今月中旬にも崩落した1号風穴の修復工事に着手すると発表した。工事に伴い15~21日は見学者向け通路を閉鎖。22日から仮設の見学コースを設けて対応する。
修復する1号風穴は2010年に南側の石積みの一部が自然崩落。町教委が調査を進め、ことし3月に独特の工法を解明して復旧設計案をまとめた。当初は夏ごろの工事を予定していたが、業者選定などの都合で着工が遅れていた。国史跡に指定された風穴の修復は全国初で、年内の完成を目指す。
22日から利用できる仮設の見学コースは、普段立ち入りができない管理棟跡の周辺につながり、従来の見学通路の向かい側から風穴を見下ろす形で見学できる。
町教委は史跡の損傷や見学者の事故を防ぐため、12月1日から来年3月末まで冬季閉鎖を実施する。冬の立ち入り制限はこれまでも実施してきたが、町はことし3月に設置管理条例を制定し、法的根拠に基づいて立ち入りを規制することにした。
町教委は「石の積み直しは11年度から綿密に調査・設計を進めてきた。史跡の価値を損なうことなく工事を無事に終えたい」としている。
風穴は岩のすき間から吹き出す自然の冷風を生かして蚕の卵を貯蔵し、養蚕業の発展を支えた施設。自然岩塊の表面にすき間ができるよう粗く石を積んであるほか、冷風の吹き出し口を確保しながら施設内に冷たい空気を閉じ込める工夫が施されている。