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《ぐんま食彩絵巻(80)》桑っ子まんじゅう 柔らかな香り広がる 富岡おやきいと 富岡市富岡 

桑の香りがほんのりと香る「桑っ子まんじゅう」
桑の香りがほんのりと香る「桑っ子まんじゅう」

 旧官営富岡 製糸場のすぐ近く。上町通り沿いにある「富岡おやき いと」(富岡市 富岡)は、桑粉入り菓子と上州やきもちの専門店。炭火が燃える本格的ないろりを備えた店で、昔ながらの手作りおやつを提供している。

創業5年目。大竹綾子さん(59)、明菜さん(30)の母娘2人で切り盛りする。ユズやネギといった旬の素材を練り込んだ季節のおやき、桑の葉の粉末を生かしたカステラが人気だが、主力は生地に桑の粉末を練り込んだ「桑っ子まんじゅう」だ。

自宅は県内唯一の桑苗生産農家、大竹栽桑園(同市田篠)。4代目の文明さん(63)が桑の葉を粉末にした「桑の粉茶」を作り始めたため、綾子さんは15年ほど前から桑の粉末入りの手作りまんじゅうを市内のイベント会場などで販売。地元に浸透したこともあり、製菓学校で学んだ明菜さんとともに店を構えた。

桑っ子まんじゅうは小麦粉、桑の粉末、ベーキングパウダーを混ぜた20グラムの生地で、粒あん25グラムを包んでふかす。1日800個作ることもあり、2人で手際よく丸めていく。

もともとは一般的な田舎まんじゅうの形だったが、個性を出すために側面を押してくびれを作ったところ、意図せず繭の形そっくりに。富岡製糸場みやげらしくなった。明菜さんは「母と私で力加減が違うから形が微妙に違う。でも、そこが手作りの良いところかな」と笑う。

昨夏から富岡産の繭から抽出したシルクタンパク入り「絹っ娘まんじゅう」も販売。絹の街として全国区になりつつある富岡と、桑苗農家ならではの特徴を生かした菓子づくりに取り組んでいる。

まんじゅうに「桑」の焼き印を入れる明菜さん
まんじゅうに「桑」の焼き印を入れる明菜さん

◎食べてみました

よもぎ色の薄皮に粒あんがぎっしり。大人なら二口くらいで食べられる小ぶりのまんじゅうで、桑の葉のほんのりと柔らかな香りが広がる。店内で食べるなら、もちろん炭火であぶってから。温かいまんじゅうといろりの雰囲気で、気分もほっこりする。

(前原久美代)

【とみおかおやき いと】空き店舗対策事業の対象として2008年にオープン。主力商品の桑っ子まんじゅうは1個 80円。やきもちは1個100円から。桑っ子カステラ(600円)、桑の粉茶やシルク製品も販売する。10~18時(売り切れ次第終了)。月曜定休。問い合わせは(電話 0274・63・9510)へ。

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