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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

製糸場整備オール群馬で 富岡甘楽の4団体主導 来月 募金スタート

来年6月の世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」を支援しようと、NPO法人富岡製糸場を愛する会、富岡商工会議所、富岡市甘楽郡医師会、甘楽富岡農業協同組合の4団体は20日、製糸場の保存整備に必要な資金の募金活動に共同で乗り出すと発表した。総額100億円以上とされる整備資金に対し、1口1000円から団体や個人の寄付を募る。今後、上部団体や関係企業にも協力を求め、県民運動として製糸場の保存整備を推進する。

◎25億円の市負担 軽減

4団体で構成する富岡製糸場基金募金委員会(高橋伸二委員長)を設立。寄付金は製糸場の保全活用の整備資金を積み立てるため市が設置した富岡製糸場基金に集約する。

市は30年計画で建物の耐震補強や復元整備を進める方針で、将来は製糸場のすべての建物を公開する。国重文に指定された明治期のれんが造りの建造物で、これほど大規模な補修整備は前例がなく、費用は最低でも100億円以上とされる。国や県からの補助金はあるが、市の負担額は25億円以上となる見込み。同委員会は「世界遺産登録を受けて製糸場を訪れる多くの観光客をもてなすためにも全面公開を急ぐ必要がある」として整備資金の調達に協力する。

募金の 呼び掛けは構成4団体が 会員や関係団体を中心に行うが、地域や企業団体、個人を問わず幅広く協力を募る。活動は12月1日から始め、世界遺産登録の可否が 審議される来年6月 末までをめどに第1次募金を実施。現段階で目標額は定めず、市が必要とする整備 資金を補う金額をめどに第2次募金(14年7月~15年6月)など必要に応じて活動を継続する。

募金委員会は集めた寄付金が製糸場や周辺整備の目的に使われ、製糸場を核としたまちづくりが実行されるよう市に提言する方針。高橋委員長は「地域の宝を守る取り組みを行政任せにせず、募金活動を通じて市民の理解と誇りを育てたい」としている。

◎企業、団体 広がる協力

「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産登録への期待が高まる中、企業や団体が製糸場の保存管理に寄与するため、売り上げの一部などを寄付する動きが広がっている。

富岡市の富岡製糸場基金は入場料収入の半分や寄付金を積み立てており、2012年度末の残高は1億3830万円。同基金に対して、三国コカ・コーラボトリングが市内の自動販売機の飲料1本につき2円、富岡甘楽地域の酒類小売業3団体が日本酒「赤れんが姫」「富岡製糸場」の販売量1合当たり1円の寄付を表明している。

コンビニエンスストアのセーブオン(前橋市亀里町)は、世界遺産登録を応援する募金を実施。県内の店舗でことし6月下旬から約2カ月にわたって106万円を集め、20日に県庁で開かれた贈呈式で県に目録を贈った。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)