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「富岡製糸場と絹産業遺産群」Web

《群馬発 おもてなし(3)》富岡製糸場解説員 遺産の魅力伝える

おもてなし・金久保誠(富岡製糸場)
おもてなし・金久保誠(富岡製糸場)

世界文化遺産登録を目指す旧官営富岡製糸場(富岡市富岡)。繰糸機の稼働音は絶えて久しく、産業遺産としての魅力を外観の見学だけで知るのは難しい。そこで観光客をもてなすのが、オレンジ色のユニホームをまとう富岡製糸場解説員の会のメンバーだ=写真。

製糸技術の変遷、重厚長大な建物の価値、日本の近代化に果たした役割を伝える使命を持ち、交代で定時ガイドツアーを担当する。

名物解説員の一人、金久保誠さん(81)=同市富岡=は製糸場の社宅で生まれ育った。父の松之助さんは片倉工業時代の富岡製糸場の総務課長。製糸場は「地下も探検した」ほどの勝手知ったる場所だ。

従業員のラジオ体操や正月の様子など父がくれた写真を見せながら案内する。高さ37メートルの煙突を指し、「どこまで昇れるか度胸試しした」と思い出話も。時には製糸場で歌われた繰糸の歌を披露する。その語り口に観光客は引き込まれていく。「まさに生き字引」「また来るから元気で頑張って」。ツアー終了後は拍手が送られた。

金久保さんのように約90人の会員それぞれが解説を工夫し、「解説員あっての富岡製糸場」とも言われる。世界遺産の可否が決まるのは来年6月。語り部たちの出番が増えそうだ。

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