製糸技術普及と技術革新を語る 富岡で今井さん
- 掲載日
- 2013/12/02
講演する今井所長
富岡製糸場総合研究センターの今井幹夫所長が30日、富岡市の富岡製糸場ブリュナ館で「製糸技術の普及と技術革新」と題して講演した。官営模範工場として操業を始めてから民営化後まで115年間にわたる生糸生産の歴史、世界文化遺産としての価値を解説した。
今井所長は、明治期に富岡製糸場で学んだ工女が帰郷後に指導者となり、各地に器械製糸工場が設立されたことを紹介。民営化後については①生糸の輸出先を欧州から経済発展の目覚ましい米国に替えて経営拡大を目指した「三井」②「良い生糸は良い繭から」という理念で蚕糸研究を進めた「原」③完全自動繰糸機化により生糸生産量を飛躍的に高めた「片倉」―の3社の功績を挙げた。
製糸場に創業当時の主要施設がほぼ現存していることの重要性を強調し、「115年の稼働で常に技術革新の中心にあり、国際的な絹の大衆化に貢献した。これらは世界遺産への普遍的な価値だ」と語った。
講演は製糸場で15日まで開かれている資料展「木骨煉瓦造建築の源流を探る―フランスから横須賀へ、そして富岡へ」の関連事業。