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《重大ニュース 2013(2)》絹遺産群の推薦書提出 世界遺産へ審議待つ

イコモスによる富岡製糸場の現地調査=9月25日
イコモスによる富岡製糸場の現地調査=9月25日

世界文化遺産登録を目指し、政府はことし1月、「富岡製糸場と絹産業遺産群」の推薦書をユネスコに提出した。県が2003年に富岡製糸場を世界遺産にする研究プロジェクトを発表してから10年。蚕糸絹業に携わってきた県民の願いを集めた絹産業遺産群は事前の手続きをすべて終え、後は世界遺産委員会による審議を待つだけとなった。

世界遺産候補として推薦された富岡製糸場、田島弥平旧宅(伊勢崎市)、高山社跡(藤岡市)、荒船風穴(下仁田町)の4資産は、県内に数多くある養蚕、製糸の関連施設の中でも特別な歴史的価値を持っている。19世紀後半から20世紀にかけ、高品質な生糸の大量生産を実現し、日本の近代化をけん引しただけでなく、世界の絹産業の発展に大きな役割を果たした。

ことし6月には絹産業遺産群に先駆けて推薦された「富士山」の審議が行われ、世界遺産登録が決定。次はいよいよ富岡製糸場が審議されることになった。

来年の審議が決まったことで、政府関係者の視察も相次いだ。文化庁の青柳正規長官が就任間もない7月に、ユネスコ日本政府代表部の門司健次郎大使も着任前の10月に来県した。製糸場に興味を示した門司大使は「伝統の絹産業の上にフランスから技術を導入して独自の発達を遂げ、世界の絹産業をリードした価値を各国に説明したい」と意気込みを語った。

9月にはユネスコの諮問を受けて推薦書を審査する国際記念物遺跡会議(イコモス)による現地調査も行われた。中国の絹専門家が派遣され、4資産の関連性や展示解説に関心を示して帰国した。

国内ではPR活動が全国展開された。岩手・平泉を皮切りに東京、大阪など6会場を回る巡回展がスタート。各地で養蚕や製糸、織物に関わった人々が懐かしむように興味を示す姿が目立った。

来年はいよいよ登録への大一番を迎える。イコモスは4~5月ごろ、評価結果をユネスコに勧告。6月15~25日にカタールで開かれる世界遺産委員会で登録の可否が示される。

県民の期待の高まりと比例するように、富岡製糸場の来場者は増加している。11月までの入場者数は30万1709人で、昨年の27万4559人を超えた。県や関係市町は観光客の受け入れ態勢の整備を進めながら、吉報を待ちわびている。

富岡製糸場(富岡市) 田島弥平旧宅(伊勢崎市) 高山社跡(藤岡市) 荒船風穴(下仁田町)