激動の13年に幕 課題乗り越え未来へ
- 掲載日
- 2013/12/31
激動の13年に幕 課題乗り越え未来へ
夕暮れの山あいに明かりが一つ、また一つとともる。蚕に繭を作らせる作業に使うため、2階を広くした独特の造りの古民家が並ぶ南牧村羽沢集落=写真。明かりは養蚕の衰退と過疎でめっきり少なくなったが、変わらぬぬくもりで里帰りの子や孫を迎える。 それぞれの2013年が暮れようとしている。
13年は安倍政権の経済政策「アベノミクス」が円安株高をもたらし、景気を上向かせた。経済効果は県内にも徐々に広がり始め、経済指標や企業決算が相次ぎ好転した。一方、17年ぶりとなる来年4月からの消費税増税も決まり、今後の景気への影響が懸念されている。
7月の参院選は群馬選挙区で山本一太氏が大差で4選を果たし、全国では与党が圧勝。衆参両院の多数派が異なる「ねじれ」を解消した。長年の懸案だった八ツ場ダム事業は14年度政府予算案に本体工事費が5年ぶりに計上され、来年秋にも本体工事が始まる見通しとなった。
スポーツでは県勢が大活躍した一年だった。6月の全日本大学野球選手権で上武大が初優勝。8月の全国高校野球選手権では前橋育英が県勢としては14年ぶりの頂点に立ち、県民に感動を与えた。9月には20年夏季五輪の東京開催が決定。選手育成や海外からのキャンプ地誘致をにらんで、県内でも機運が盛り上がる。
世界文化遺産登録を目指す「富岡製糸場と絹産業遺産群」では、政府がことし1月に推薦書をユネスコに提出。9月にはユネスコの諮問機関「国際記念物遺跡会議(イコモス)」による現地調査が行われた。登録の可否が審議される来年6月の世界遺産委員会へ向けて、県民の期待は高まる。
人口二千三百人の南牧村。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所は、2040年には村の人口が3分の1以下になると推計する。人口減少社会の最前線とも言えるこの村で、小さな変化が始まっている。村の若者や女性たちが手を携え、古民家に人を呼び込む活動を始めたところ、移住する都市住民が増え始めた。「福祉を産業に」の声が村民から上がっている。
さまざまな課題を乗り越え、よりよい未来を探し求める新たな一年が始まろうとしている。