種から絹へ・上州絹星を追う

養蚕特有の文化や風習 金子兜太さん語る旧富岡製糸場 俳句ラリーもにぎわう

「東国自由人の風土」をテーマにトークする金子さん(左)と聞き手の水野さん=富岡製糸場東繭倉庫
「東国自由人の風土」をテーマにトークする金子さん(左)と聞き手の水野さん=富岡製糸場東繭倉庫

現代俳句の重鎮、金子兜太さん(86)=埼玉県熊谷市=を招いた「金子兜太が語る『東国自由人の風土』」が十三日、富岡市富岡の旧官営富岡製糸場で開かれ、埼玉の秩父で生まれ育った金子さんが少年時代の蚕糸の記憶について語った。





上毛新聞社のフィールドミュージアム「21世紀のシルクカントリー群馬」キャンペーンの一環。前橋市在住の俳人、水野真由美さんが聞き手を務めた。

金子さんは日銀入行の面接試験で養蚕を詠んだ句を披露したことを明かし、「秩父の人間として繭の記憶が染み付いている」と説明。女性たちが蚕の世話をしながら義太夫の掛け合いをしたり、蚕のさなぎを食べるという養蚕地帯特有の文化・風習が古里にあったことを懐かしんだ。

会場の製糸場については「秩父の農民にとって夢の城。見学に行った人が自慢話するほどだった」と、子供時代に抱いた“巨大工場”の印象を語った。

製糸場を基点にした俳句ラリー、子供向けの俳画教室も開かれ、大勢の県民が世界遺産登録を目指す歴史の舞台で秋の一日を過ごした。


(2005/11/14掲載)