■8・皇后さまのお蚕 「いい繭作りたい」
白く輝く繭。蚕がはく糸は人々に豊かな恵みをもたらした。遠い昔から上州の地で盛んだった養蚕、糸引きは今も受け継がれている
初繭を 掻(か)きて手向けむ 長き年
宮居(みやゐ)の蚕飼(こがひ) 君は目守(まも)りし
皇后陛下御歌集『瀬音』に収められた一首。三年前に出版された御歌集には「神戸禮二郎紅葉山御養蚕所主任をいたみて」と詞書(ことばがき)が添えられている。安中市安中の神戸さんがその人。自宅を訪ねると、仏前に御歌と、養蚕をされる美智子さまと神戸さんの、笑い声が聞こえてきそうな写真が飾られている。
(2000年12月8日掲載)