■7・活路 「本物」の魅力次代に
しなやかで光沢のある絹は「繊維の女王」と呼ばれる。碓氷製糸は全国でもトップクラスの生糸生産量を誇る=松井田町新堀
「これだ」。大手百貨店、高島屋(東京都中央区)でベビー服の商品開発・販売を担当する豊島伸一さん(47)は、出社前の慌ただしさの中で、テレビにくぎ付けになった。一昨年の暮れ、日曜の朝のことだった。番組は絹のベビー用肌着を紹介していた。
業界の常識では「ベビー服に絹は使えない」。絹に含まれるホルマリンが問題なのだ。ホルマリンは絹の原料となる繭の腐敗防止に欠かせないが、赤ちゃんの肌への影響が懸念されるから。番組はその常識を覆すものだった。「うちは輸入の高級綿でベビー服をつくって、販売していたが、綿はやはり綿。人間の肌に近く、保温性、吸湿性に優れる絹には勝てない。これを商品化できれば大きな武器になる」
(2001年3月9日掲載)