■5・グループ 新商品開発に結束
個性を追求するため、絹の良さを生かした商品づくりを進める「兵藤織物」=桐生市境野町
民家が軒を並べている。その路地から機織りのリズミカルな音が聞こえてくる。音の主は兵藤修一さん(73)=桐生市境野町=。国の伝統的工芸品「桐生織」の技を引き継ぐ伝統工芸士の一人だ。戦後、父と二人で創業、妻の兄が経営する機屋で技術を磨いた。主に帯地を生産、つくればつくるだけ売れる時代を体験した。状況はオイルショックで一変、「売れないから種類を増やす、さらに在庫が増える」。そんな悪循環の中、和装から洋装に転換して、乗り切ってきた。
現在はストールを主力に生産している。昨年、仲間とグループ「シルクα(アルファ)」をつくり、絹を中心にした新商品の開発に取り組んでいる。「絹は手仕事によって、その良さが引き出せる。それには、われわれのような職人集団がいまひと踏ん張りしなくちゃと思っているんだよ」
(2001年3月7日掲載)