■10・巨大工場 活路求めた民の精神
織物で栄えた桐生を代表する建物の一つ、桐生倶楽部会館。1919(大正8)年に織物産業の経営者らが設立した=桐生市仲町
広大な敷地にノコギリ屋根の工場群が北西に背を向けて横たわり、高い煙突が黒い煙を吐いている。壮大な工場の外観が描かれた絵図を佐羽(さば)秀夫さん(74)=桐生市堤町=が見せてくれた。それは古びてところどころ破れていた。
「日本織物株式会社」。明治半ば、桐生に誕生した織物工場である。時代は「桐生」が輸出羽二重(はぶたえ)で世界のメジャーに躍り出たころ。絵図からも当時の桐生の勢いが伝わってくる。この会社設立の中心にあったのが佐羽家だった。
(2001年1月27日掲載)