絹人往来

絹人往来

■2・それぞれの夢 人との出会い大切に

世に送り出してくれた人の恩を江戸小紋師の藍田正雄さん(61)=群馬町足門=は、片時も忘れたことがなかった。日本橋人形町の呉服問屋「岡巳」の故岡正之佑社長が仕事を認めてくれたから今の自分がある―藍田さんはそう信じている。藍田さんが代替わりした岡巳の仕事を引き受けるのも、人との出会いを大切にしたいからだ。

東京・日本橋浜町のビル九階で開かれた岡巳の展示会。四十畳ほどの畳敷きの会場に藍田さんが染めた帯や反物が並び、あちこちで商談が始まっていた。岡さんの後を継いだ田辺雄三社長(61)は「新しい江戸小紋が群馬から生まれますよ。着物全体の消費は確かに落ち込んでいる。でも、きちんとしたものを提案すれば需要はある」という。

(2001年2月28日掲載)