絹人往来

絹人往来

■3・1枚の名刺 新しい出会いがある

上州はシルクカントリー。桑畑の中に点在する養蚕農家は当たり前の風景だった。ほとんど2階に蚕室、屋根裏に空気抜きの窓があった=群馬町東国分の住谷宗七家住宅
上州はシルクカントリー。桑畑の中に点在する養蚕農家は当たり前の風景だった。ほとんど2階に蚕室、屋根裏に空気抜きの窓があった=群馬町東国分の住谷宗七家住宅

「昔の人の出会いを調べているうちに新しい出会いがあって、友達が増えました」とフランチェスカ・トラバァリーニさん(31)=東京都府中市=は言い、栗色の長い髪を両手でかき上げた。京王線・東府中駅近くの小さな喫茶店。テーブルの上には日本語の本が積まれている。

いずれも百二十年前、蚕種販売のためにイタリアに渡った境町島村の田島弥平にかかわる歴史書である。その中の一冊をめくると、興味を持ったいきさつを話し始めた。本にはイタリア語のメモがびっしり書き込まれている。

(2001年1月18日掲載)