■8・蚕を飼う 苦労の中自然に感謝
養蚕農家がつくった繭は製糸会社でひかれて糸になる。繭価の低迷は養蚕農家の減少に拍車をかける=松井田町の碓氷製糸
「ここいらじゃ、ずっと蚕を飼ってきたんだいね。なんとかしなけりゃのう」。ゴム長靴に野球帽、着古した青いジャンパーの吉田俊雄さん(57)=富岡市下丹生=は、肌を刺す寒風の中で乾燥いもを保存するコンテナをホースで水洗いしている。小高い丘の上。鉄骨づくりの施設の周りに桑畑が広がっている。
吉田さんは県内一、二を争う養蚕農家。二〇〇〇年度の掃き立て回数は六回、収繭量は四・二トンに達する。乾燥いもの加工に使う施設は五月になれば蚕でいっぱいになる。そのころには毎年、フィリピンからの研修生が二人やって来る。
(2001年3月10日掲載)