絹先人考

絹先人考

■13・下村 善太郎

八王子で生糸取引に成功した下村善太郎(右)と妻・せえ
八王子で生糸取引に成功した下村善太郎(右)と妻・せえ

一八六三(文久三)年、八王子を拠点に生糸取引で成功した三十六歳の下村善太郎は十三年ぶりに前橋へ戻った。横浜開港により郷里でも生糸貿易が盛んに行われ、目に映る光景は活気にあふれていた。

事業に失敗し裸一貫同然で旅立った時の財産は六両余り。それが一万両に膨れ上がっていた。生来の商才を発揮しての“凱旋(がいせん)”。後に初代前橋市長に上り詰めた人物は、どうやって巨万の富を築いたのか。