■22・馬場 重久
吉岡町北下の諏訪神社に立つ馬場重久の顕彰碑
蚕の正しい育て方を皆に知ってもらうには、どうしたらよいのだろうか-。
江戸時代中期。群馬郡北下村(現吉岡町北下)で養蚕の研究をしていた馬場重久は頭を悩ませた。
文字を読める農民は少ない。一部の識字者が養蚕指導書を読み、人々に広めたとしても、細かい飼育方法まで伝えきれるものではなく、すぐに忘れられてしまう。悩み抜いた末、馬場が考え付いたのは飼育の要点を「歌」にすることだった。一七一二(正徳二)年に著した養蚕指導書「蚕養育手鑑」には、文章の合間に自作の歌十六首を盛り込んでいる。
〈蚕には ついえを徳の もととする 桑おしむなよ ひまおしむなよ〉