絹先人考

絹先人考

■46・五十嵐吉蔵

蚕糸行政一筋に生きた五十嵐吉蔵=1959(昭和34)年3月、衆院議員会館
蚕糸行政一筋に生きた五十嵐吉蔵=1959(昭和34)年3月、衆院議員会館

「蚕糸関係重要案件が幾多山積しているが、当局はいかなる対策をもって未曾有(みぞう)の難局に直面している本県蚕糸業者を救済更生するか。実際問題として蚕糸業県ブロック経済を樹立するほかなしと思うが、いかなる見解を持たれるか」

一九三五(昭和十)年十二月十一日、県の来年度予算を審議する県議会。五十嵐吉蔵は県の蚕糸政策をただした。県議二期目、三十四歳だった。

「蚕糸業県ブロック経済」とは、他府県の資本の支配を受けることなく、県独自の立場と力によって県自ら蚕種、桑苗、繭、生糸を生産・配給・加工することだった。