絹先人考

絹先人考

■27・書上文左衛門

桐生織物同業組合長を務めた11代文左衛門=桐生織物記念館所蔵
桐生織物同業組合長を務めた11代文左衛門=桐生織物記念館所蔵

明治後半から大正にかけて、桐生の「買次商」として両毛地域に君臨した書上商店の書上文左衛門(十一代目)が最も大切にしたのは情報だった。

桐生織物の発展を支えた買次商は、産地問屋として織物を買い付けるだけでなく、時代の売れ筋をかぎ分け、機屋に伝える“道案内役”も担った。

十一代が晩年の一九一一年に創刊した月刊業界情報誌「書上タイムス」もその表れだ。織物産地の市況や流行などを紹介しつつ、評論、文芸など幅広い内容を盛り込み、毎号、銀行や織物組合、機屋など百六十店を超す広告主が付いた。