■26・森山 芳平
森山享さんが所蔵する森山芳平の肖像画
コロンブスのアメリカ大陸到達四百年を記念して、米国・シカゴで一八九三(明治二十六)年、世界博覧会が開かれた。明治政府は国内の実業奨励と国の威信をかけて、工芸、絵画、陶漆器など多くの出品物を集めた。
桐生からは森山芳平の「花卉(はなくさ)模様緞子(どんす)卓被」と題したテーブルクロスが出品された。タテ一九八㌢、ヨコ二○九㌢の大作で、一面に四季の花を織り出し、周縁に桜と紅葉を配している。
「桐生織物と森山芳平」(みやま文庫)の著者、亀田光三さん(76)=桐生市小曽根町=は「工芸織物として最高の技術が結集されている。桐生産地の最高水準の織物」とみる。作品は東京国立博物館に収蔵され、桐生織物の“実力”を伝える。